「大丈夫ですか?」

バイクから降りるのに手こずっていると声をかけられた。


「ええ、大丈夫よ・・・・・って!椎名?」


ユリ子の期待をはずしたが、人物をみて驚いた。

体制を崩したユリ子を椎名はいとも簡単に整える。


「あ、ありがとう」

ユリ子にとって、椎名の行動は当たり前のことなのに。


「滅相もございません。お礼の言葉なんて・・・・・・でも。どういたしまして、お嬢様」


椎名はユリ子からの言葉を受け取り、顔が綻(ほころ)ぶ。


ユリ子は張りつめていた気持ちが和らいで、自然と笑顔になる。



椎名の奥に、蓮山の姿がうつった。




ユリ子の心臓はドキリと高く脈を打つ。