「あれ、利琥…何やってんのぉ?」

甘ったるい声の美優が利琥に近付く。


いつの間にか呼び方が、霧野君から利琥に変わっていた。



「美優…呼ばれてたんじゃないの?」

いつの間に…戻ってきたんだろう。


「だって行こうとしたら葉凪…利琥といちゃいちゃしてんだもん」



いちゃいちゃって…そんなはずないじゃん。


「うるせぇな…仕方ないだろ、好きなんだから」

…は!?



「ちょっと待って!美優「もういいよ」…え」

美優が私の話を遮る。


「利琥て、こーゆー女がタイプなんだ……趣味悪」



「美優…待ってってば!何か…誤解して「うるさい!!!」…っ!!」



「もういい…葉凪は私の事、裏切った…私は本気で利琥の事…好きだったのに!!!」

「そんな事情、俺には関係ねぇし」


美優は怯まず、真っ直ぐに利琥を見つめていた。


「利琥…これからも中庭にはちゃんと来てね…私、メイドだから」

「……分かったよ」




「美優…っ」

「葉凪…あんたは二度と中庭に来ないで…私たちの邪魔をしないで」

「っっ……」



「利琥、行こう?」


「葉凪…」

「いいから行こうよ!」


結局、美優は黙ったままの利琥を連れ…多分、中庭へ。

私は……独りぼっち。



「みんなと…また笑い合いたいよ」