◇葉凪◇

「はい、冷たいアイスだよっ」



はぁ……。

私は廊下から中庭を覗く。

いつもより高い美優の声が中庭から聞こえる。


…声、でか過ぎ。



あの後、利琥は美優がメイドになる事を拒否ってくれたが、他の四人は……。


「いいよ、何か面白そうだし!」

「まぁ、別にいいかな。新鮮で」

「もっちろん!!仲良くしようねっ」

賛成だった…。



私は美優にもう中庭に来なくていいよ!って言われて、私の昼休みは暇になった。


でもみんな…笑ってる…。

みんなも美優の方が良いのかも。


私はそう割り切って、教室でも四人と喋るのは止めた。


…なのに。

「葉凪!祐樹にお菓子頼まれたんだけど、どこに売ってるか知らない!?」


知らないよそんなの……。

「あー、分かんないなーごめん」


「そっかー……でもね!今、すっごく楽しいんだ!あー私、けっこう人の世話すんの好きだし?」


「そうなんだ……でも、無理しなくていいよ?」

本当は私だって、またメイドに戻りたいんだから。


「ううん平気!あ、哉弥が呼んでるっ!じゃあねっ」

私の居場所…取られちゃったな…。


「おい…葉凪」

―――びくっ


あ……利琥。

「あぁ、どうしたの?みんなのとこ、行きなよ」


やば…強く当たっちゃった。

これじゃあ、ただの八つ当たりじゃない。


「……珈琲飲みたい」



「はい?……私、メイドじゃないんですけど」

「いいから。買って来い」