「ゆ、祐樹…っ」
やめろ。
「葉凪……好きだよ」
やめろ。
「その上目遣い、誘ってるんでしょ?」
頼むから、
「ゆ、……んんっ」
俺はぎゅっと拳を握る。
怒りか、戸惑いか、悲しみか。
この感情の正体は分からないけど、そんなのはもうどうでもよかった。
「祐樹」
自分でもびっくりするほど冷静に声をかけた。
内心、ぶん殴りたかったけど。
祐樹は俺を挑発するように、俺を睨んだ。
…上等だよ。
「利琥…っ」
葉凪の声は聞こえてない。
「てめぇ、何してんのまじで?」
祐樹の胸倉を掴み、低い声で言う。
「っ、ごめん利琥」
「謝ればいいってもんじゃねぇだろ!!」
祐樹の目に曇りはなく、言動全てが本気だった。
葉凪が好きと言ったのも、葉凪にキスしたのも、俺に謝ってるのも、全部本気なんだ。
…んなこと、分かってるんだよ。
分かってるけど……。