ガタッと立ち上がって、こっちを見てる女。



「…葉凪?」

「はい…私の友達、です」


女はちょっと俯いたまま、でも視線を逸らさず言った。

「じゃあ、その葉凪っていう子の後ろはー?」


「空いてます」

「それじゃあ、そこにしようか」



「待て、お前らはどうすんだよ」


何でひとつの席しか探さないんだよ。

「いいじゃん、全員で座れば」


「は?」


ひとつの席に全員だと?


「とりあえず担任来るまでだし、ね?」



「座れるなら何でも」

俺は、クラス全員の熱い視線を感じながら、席についた。


座ったのは俺だけだけど。



「ね、名前なんて言うの?」


哉弥がさっきの女に話しかける。


「え…凛です、深野 凛」



「凛ちゃん?俺、哉弥。よろしくね」


「あ、はいっ」




早速ナンパかよ。


その女、苛められんぞ。