「どうして…優勝者なんかを襲ってるの…?」
「あんたが知る必要はない!!…ここで死ぬんだからね」
後ろから荒い息が聞こえてきて、振り返る。
緑のキャップを被った男が何かを握りしめて笑っている。
「フー…フー…」
…冗談やめてよ。
「言っとくけど、まじだから」
「待って…香……」
「あんたなんか、死ねばいいのよ!!!」
男が私に向かって刃物を突き刺す。
……悲願しても、多分無理。
ぎゅっと目を瞑ると、頬に痛みが走った。
「…っ!?」
咄嗟に手で頬を触る。
生暖かいものが流れていた。
「…い、った…」
「あはは、いい気味!!」
痛みで歪む私の顔を見て、香は楽しそうに笑う。
…だめ、このままじゃ……。
「さぁ、今度こそ殺すのよ!!!」
―――殺される…!!