俺はそのまま体育館を出て、教室に戻る。


既にいつもの場所に、香はいるだろうか。

メールで一応呼び出しておいたが、あいつは鋭いからな。



さっさと会って、さっさと別れよう。


俺は足早に学校を出た。



約束の場所に行くと案の定、香はいた。


「香……」



香はベンチに座って、携帯をいじっていた。

携帯の光に照らし出される香の顔は、狂気に満ちているようにも見えた。



「香、何してんの?」


香はビクッと肩を揺らし、目を見開いて俺を見た。


「え?…い、いや…何も!?てか遅いよ…っ、あはは」

「なに思いっきり動揺してんの?」


問い詰めると、香は目をぐるぐる泳がしながら笑顔を引きつらせた。



「香…―――」


「利琥の言いたいこと、分かるよ」




…え?

香はベンチに座ったまま、俺から目を逸らした。


「別れたいんでしょ、私と」



どうして急にそんな事言い出すんだ?

確かに…それは望んでいたことだが。




「もういいよ、私も別れたいと思っていたし」



…一体どうゆう事なんだよ。