「いらっしゃい」
「お邪魔しまーす」
繭の家は3階建ての一軒家で、外観は白を貴重とした落ち着いたイメージ。
中に入ると、ほんのりと明るい照明が廊下を照らしていた。
廊下の突き当たりに大きいリビングがあって、傍らに階段がある。
「2階が私の部屋だから、上がるよ」
「うんっ」
繭の部屋はモノクロにアクセントとしてピンクが散りばめられていた。
何とも趣味の良い、女の子らしい部屋。
私たちはしばらく他愛もない話をしてから、お風呂場に向かった。
…というより、大浴場。
「パジャマありがとね、まさか泊まる事になるなんて…」
利琥に言われた事を繭に話したら、泊まる事になった。
「でも何で一人になっちゃいけないのかな?」
さっぱり意味が分からなく、尋ねてみると、繭はすごく真剣な表情で、
「…もしかして、その男の子、あの事件の話をしてるんじゃない?」
私はそこで初めて全てを聞いた。
美少女コンテストの優勝者が何者かに襲われる…事件。
「何…それ」
「犯人はまだ分かってないから、葉凪も気をつけてね」
「……うん」