私たちは学校を出て、繭の家に向かう。
「あ、電話だ」
携帯が震え、確認すると着信があった。
相手は……
「っ!!?」
「どうしたの葉凪、電話?」
「あっ、うん!ちょ、ちょっとごめんね!」
名前を見られないようにさり気なく隠して、少し離れた。
繭はニコッと笑って、近くの公園のベンチに腰を下ろした。
「…も、もしもし……利琥?」
『あぁ、お前今どこ?』
顔を見てるわけじゃないのに、キョロキョロと目を泳がしてしまう。
「どこって…これから友達の家に行く途中だけど」
『……今日は、何があっても絶対一人になるな』
え…?
心配そうな声色で、強く言ってくる利琥。
「何で?」
『いいから何でもだ、分かったな』
「……うん」
「どうしたー?」
「よく分かんない…」
意味の分からない利琥の言葉を脳の片隅で気にしつつ、私たちは足を進めた。
「ひっろぉぉい!!」
何ここ、超大きいお家!!