「葉凪…っ」
軽く息を切らしながら、ゆっくり私に近付く利琥。
もちろん、全生徒の注目の的。
「り…利琥」
わ、何か顔見れない。
「…おめでとう、葉凪」
それはあまりにも意外すぎる言葉で、
俯いていた顔を上げると、利琥は見たこともない表情で笑っていて、
「…俺が、守るから」
誰にも聞かれないように耳元で囁かれ、顔が真っ赤になったのが自分でも分かった。
「っっ…!!!」
利琥に冷たい事を言われた時、本気でショックだった。
でも、守るって言ってくれて嬉しかった。
素直に嬉しかったよ、利琥。
けど君のせいで、私は女子から冷たい目で見られるようになったんですけどね。
利琥は用事があるとかで、足早に帰っていった。
一応仲直りできたみたいで…良かった。
「緊張したぁ…っ」
「お疲れ様、葉凪」
放課後の教室で、私はもらった賞状を眺めていた。
繭は相変わらず涼しい顔で笑ってる。
「これからさ、私の家で葉凪の優勝祝いを兼ねた打ち上げやろー」
「え、いいの!?」
「もちろん!今日は親もいないし、二人で盛り上がろ!!」
嬉しいっ!!