「利琥、遅かったね。何かあった?」


「いや…、何でもない」


何でだ、何でだ…。

何でこんな動揺してんだよ、俺。



落ち着け…俺が好きなのは香のはずだろ?


「利琥、早く…シよ」


俺は必死にさっきの話を頭から消そうとした。

でも、離れない。


脳裏から全く離れない。



それでもかき消すように、俺は香に跨った。

すべての神経を目の前の欲望にぶつける。



「は…っ、あ…利琥……っ」


香はただ何も言わずに感じてる。


俺は気付いていた。

この行為に、愛はない。



でも俺は無我夢中で香を求め続けた。


面倒くせぇ…今は何も考えたくない…。










「“葉凪”…っ」





本当に、無意識だった。