◆利琥◆


あれから頻繁に香からメールが来る。


ハート付きのメールが毎日15件以上。

最初は面倒で無視してたが、最近は返信をするようになった。


純粋な香の気持ちが、俺の気持ちを動かしたのかもしれない。

惹かれている事は否めなかった。


『利琥、見て!髪アップにしてみたっ』

休み時間はいつもテレビカメラで香と過ごす。




「あー、良いんじゃん?」

『もーっ!可愛いって言ってよぉ』


彼女…なのか。

告白してないしされてもいない。



だけど自然と、そんな関係になっているのかもしれない。


確かなのは…もう俺は葉凪を想わなくなった。

いつも思い出すのは、香の事。



俺が守るべき女は、きっと香なのだろう。





「香、逢いたい」

『……うん、放課後いつものとこでね』


祐樹たちといる事もなくなった。

俺はあいつらを避けるように日々を過ごした。


同じ教室にいても、目さえ合わせない。



『あ、そうだ!ねぇ利琥、逢った時さ、このストラップあげるね』

テレビカメラの向こうで、香がストラップを見せる。


「何それ」

『可愛いでしょ、私とお揃いだよ?』



「…さんきゅ」


『うんっ』


香の笑顔は単純に可愛いと思う。