結局葉凪は、昼休みが終わっても戻ってこなかった。
そのまま授業が始まる。
祐樹たちも不安そうな顔で俺を見る。
俺は黙って首を振り、机に突っ伏した。
本気で探してんのかな、あいつ…。
チクンと胸が痛んだ。
それを無視するように、硬く目を閉じる。
葉凪、早く戻ってこいよ。
飲み物なんてどうでもいいから。
―――ぱたぱた…
廊下から小さく足音が聞こえた。
「っ……!」
はっと顔を上げると、教室の外に葉凪を見つけた。
汗だくで息を切らしながら、躊躇った表情で教室内を覗き込んでいる。
やがてふるふると首を振り、回れ右をして走って行った。
なんだ、あいつ。
何で入ってこねぇんだよ…。
………。