「可愛い鈴だね」
私はお父さんから預かった鈴をお墓に置いた。
「うん、想い出のものなんだって」
「そっか」
私たちはしばらく目を閉じた。
『ありがとう、お母さん』
その想いを胸に秘めて、ただ手を合わせ、目を閉じた。
「帰ろう」
祐樹は手に桶を持って、微笑んだ。
「うん」
それに答えて、私も立ち上がる。
胸につっかえていた物が全て取れた気がする。
…帰ろう。
「葉凪、ありがとうね」
そう言って笑った祐樹の笑顔は、確かに本物だった。
地元に帰ってくる頃には、お昼を過ぎていた。
「葉凪、これからどうする?どっかお店入ろっか」
「うんっ」
私たちは近くのファミレスに入ってランチをする事にした。
「…あ」
「…あ」