「教えろ…って、だから!葉凪と祐樹がキスしてたんだって!!」


「どこにいんだよ、二人は」

俺の声は教室に低く響いていた。


「そこの廊下、突き当たりの空き教し……」


最後まで聞かなかった。


気付いたら俺は走り出していた。




俺が空き教室に着いたとき、その行為は丁度終わった。


まじでしたらしい。




「何やってんの?」

呟くように声を掛けた。


「り…利琥」


葉凪の表情が強張る。


動揺してるのがバレバレだ。



「利琥こそ、どうしたの?」

「別に、お前ら探してた」


平然としやがって。



「利琥ごめんね、祐樹戻ろっか」


「うん、そうだね」



何事も無かったかのように、二人は教室を出た。

「…怪しいな」


わざとらしく言ってみる。


「え?」




「何してたんだよ、こんなとこで」


「べ、別に何にもっ!!」


「葉凪にキスされた」

「…ちょっ!!??」



もう二度と油断しないと、心に誓った瞬間だった。