「なぁ、潤」


祐樹と葉凪が出て行ったのを確認して、席で本を読んでいた潤に声を掛けた。


「ん?」


顔を上げずに答える潤。



「俺…どうすれば良い?」


潤はパタン、と本を閉じて俺を見る。

そして、ふぅ、と息を吐く。


「どうするって、見守るしかないでしょ。…葉凪が頑張ってんだから」


「だけど…」

「ここは、利琥が出る幕じゃない」


…ですよね。


「分かった」



葉凪を信じよう。


「…ところで、何で葉凪は祐樹を呼び出したの?」

「知らねぇよ。一緒に行こう、とでも言ってんじゃねぇの?」



「そんなの僕たちの前で言ったって良いのにね」



―――ドキ。

おいおい…なんで俺を不安にさせるような事を言う?



「おい、利琥!!」


背後からでかい声がした。




「んだよ、うっせぇな」


声の主は、哉弥。

「いや、悪い……じゃなくて!葉凪と祐樹、二人きりだったけど!?」


「あぁ、知ってる」

「え、知ってんの!?何だ…利琥、心広くなったなぁ」


「うるせぇ」


どういう意味だ。



「俺はさすがに許せないね、彼女と親友がキスしてるなんて」



……は、キス?

「おい、キスって…?」



「え、知ってるんじゃ―――」


「いいから早く教えろ!」