◆利琥◆



潤から、ある話を聞いた。


明日は、葉凪の母親と祐樹の父親の命日。


葉凪と祐樹は覚えてるはず。

だからと言って、行くのか?なんて、言えねぇ。



朝の登校中、校門で葉凪を見つけた。





「おはよ、利琥」

「あぁ、おはよ」



周りから見れば、いつも通り。

でも、葉凪は、ちゃんと笑えてない。



途中で祐樹と潤に会った。


「おはよ!」

「祐樹…」



葉凪は祐樹を見た瞬間、顔色を変えた。


「どうしたの、葉凪?」


この反応…。

祐樹は覚えてないのか…?



「とりあえず、教室行こうぜ」

俺は三人を促す。

「あぁ、うん」


「祐樹、ちょっと来て」



教室に入って鞄を置く葉凪。


直後に、祐樹に声を掛けた。



「うんっ」