私は恐る恐る利琥に近づく。


それでも微妙に距離を置いてると、痺れを切らした利琥が舌打ちをした。



―――グイッ



「きゃっ…」


小さく悲鳴を上げる。



気がつくと私は利琥の胸の中にいた。


「ちょっ…利琥!?」

「……」



利琥は私を抱き締めたまま黙っている。


「離してよ…っ」

何でこんなことするの…?



「悪かった」



利琥がそんな事を言うから。


……ごめん?



それ、何に対して?

今、抱き締めてる事に対して?



「信じられなくて、ごめんな」


信じられなくて……?



「あの時のキスマーク、彰に無理矢理付けられたんだろ?」



段々、話の内容が分かってくる。


「ううん、あれは…私が悪かったの」



あんな事をした弱い私が悪かった。

それなのに、どうして利琥が謝るの?


「違う…俺、お前の事責めて、信じてやれなくて」




涙が出そうになったけど。

一つだけ、確認したくて。


震える声で聞いた。