「あ、潤!葉凪!」
利琥の部屋には既に、祐樹と哉弥がいた。
すぐそばのベッドには、彼がいて。
私はふいと目を逸らしてしまった。
駄目だ、意識しちゃう…。
「おう、利琥。体調はどうだ?」
「あぁ…やっぱ家の方が落ち着く」
「だろうな」
久しぶりに聞く、彼の声。
…緊張してきた。
「おーい、葉凪もこっちおいでよっ」
ビクンっと身体が跳ねる。
「あ…うん」
戸惑いつつも足を動かす。
「た、退院おめでと……う」
声が震える。
利琥は私を真っ直ぐ見て、でもその瞳は冷たくて。
「あ、えと……」
もう、終わりにしよう。
その言葉だけで良い。
それだけ言って…早く帰ろう。
「悪いけどお前ら、ちょっと外してくれるか?」
利琥が口を開く。
「……分かった。おい、行くぞ」
祐樹達はぞろぞろと部屋を出て行った。
え、え?
「葉凪、こっち来い」
「……え」
利琥が私を見てる。
どど…、どうしよう。
「いいから、来い」