「ふっ、勘弁してくれよ」
「頼む。…俺は最低だった。お前の妹、誑かして…、悪いと思ってる」
「……」
「でも俺は、葉凪が好きなんだ。あいつを愛してる…あいつしか考えられない」
みっともなくしがみつく。
だけど俺は、もう手放したくない。
「お前が…、そこまで本気になるとはな」
「は?」
「嘘だよ。葉凪はまだ、お前の事好きみたいだぜ」
「どういう意味だよ」
理解出来なくて、頭が混乱する。
「……本気で好きだった、俺も。でも、呆気なく振られちまった」
「振られた?お前が…?」
「あぁ、『私は利琥が好き』……だってよ」
彰はすごく切なそうに、俺を見た。
葉凪、まだ俺の事…好きでいてくれんのか?
あんなに酷い事を言ったのに。
俺はお前を信じられなかったのに。
「そういう事だ。ちょっとお前を試してみただけ」
「葉凪……」
「おーい、聞いてるか?まぁ…頑張ってよ、俺のためにも」
彰は俺に背を向け病室を出て行こうとした。
「彰!」
「あ?」
「さんきゅ…、ごめんな!」
「気にすんな…お大事に!」
彰、お前…最高に良い奴だな。
俺らはクスッと笑いあって別れた。
バフッとベッドに寄り掛かる。
「葉凪、ごめんな」
そう呟いて目を閉じた。