「え……」
「俺がつけたの、無理矢理」
「っ!?」
あの日、俺は葉凪の胸元のキスマークを責めた。
他の男と何をやってるんだと、最低だと。
葉凪は謝った。それでも俺は許せなくて。
それで―――。
……彰が、無理矢理つけた?
「あーあ、葉凪の事…責めちゃったんだ」
「…っお前!」
「残念だけど、もう手遅れ。葉凪は俺のものだから」
何だと?
「日本に帰ってきた葉凪はすごく寂しそうな顔してた」
「……っ…」
「だから、貰っちゃった。今まで『利琥』しか言ってなかった葉凪が、一瞬で落ちたよ」
「ふざけんなよ」
「ふざけてない。今日はその事を言いたかっただけ。もう葉凪に手出すなよ」
ちょっと待てよ。
葉凪が彰のものになった…だと?
そんな訳……。
全身の力が抜けた。
確かに、俺は事情もよく知らないで葉凪を責めた。
……俺は、葉凪を好きになる資格なんてない。
けど。
「嫌だ」
「………は?」
「俺は葉凪が好きだから、お前に渡さない」
「お前が葉凪を手放したんだぞ?」
「分かってる、俺はまだ未熟だった」
嫌だ、諦めたくない。