◇葉凪◇


私は非常階段で彰を待っていた。


けじめをつけよう。

もう、二度と会わないって。


これ以上中途半端な関係は止めよう。




「おー葉凪、どこ行ってたんだ?三日も学校休むなんて」


…彰。


「利琥に会ってた」



「あいつに、ねぇ…」


「知ってるんでしょ?利琥の事…」

「あぁ、知ってるよ」


彰は興味なさそうに答える。




「教えて、何を知ってるの?」

「……教えない」


クスクスと楽しむように笑う。


「何で?」



「だって、それ教えたら葉凪、俺から離れていくだろ?」


「私は、利琥が好きなの」

私は真っ直ぐに彰を見る。



「まぁ…いいや、じゃあ教えてあげる」


「本当!?」


「その代わり、利琥の事…嫌いになっちゃうかもしんねぇぞ?」


「覚悟は出来てる」

「じゃあ、ちょっと座れ」




私は頷き、階段に座る。


本当は、覚悟なんか出来てない。

でも、全てを受け入れよう。

利琥の全てを。




「俺と利琥、中学が同じだったんだよ」


「え…」


「正確に言えば、中二の最初らへんまで」

「どういう事?」