泣いてしまった。

こいつらの前では泣かないって決めてたのに。


「泣いてんの!?まじキモイんですけど!」

悔しい…!




「あれ、またやってんの?」


「っ!!?」

ドアに寄り掛かっている彰が視界に映る。


「彰様!」

「しつこいな、お前らも」



「いや、これは、あの、躾です!!」


「躾?」



し…つけ?


「そうです!こいつは彰様の事を侮辱したんですよ!?」

「ち、違っ…」


柚子は彰に見えないように私を蹴った。



「俺を侮辱?」

「はい!何か…うざいとか、目障りとか!」


そんな事言うわけない…!

やめて…私を悪者にしないで!


「ふっ」


彰は鼻で笑う。



「俺様に嘘をつくとはいい度胸だな、ぶっ殺すぞ」


見た事のない彰だった。

私を…信じてくれた。



「おら、退けよ!!」

その言葉に全員が反応し、道を開ける。


「おい、葉凪」


「どうしてですか!?そいつは…」



彰は私を優しく抱き上げると、強い口調で言い放った。
 
「黙れ。目障りだ、失せろ」

「っ!!」


柚子は俯き黙りこくっていた。



「あ、きら…」

「喋んな、歩けるか?」