私は教室から出ようとした。
「おい、風雅!どこに行くんだ、さっさと座りなさい!」
タイミング悪く先生が私に怒鳴る。
「あ、すいません」
慌てて席に戻ると、いつの間にか座っていた女たちが笑う。
「プッ、だっさーい!」
「つかお前に居場所ないし!」
「あ、それ言えてる!あははは」
甲高い、うざい声。
先生は気にも留めない。
私はただ冷たい視線を浴びながら、俯く事しか出来なかった。
休み時間、本当に教室に私の居場所はなくて、トイレに駆け込んだ。
壁に寄りかかって考える。
―――これからどうしよう。
こんな事、利琥にも祐樹たちにも言えない。
…私、弱いな。
今日三回目のため息をついた時だった。
「ここ?」
「うん、そこー」
さっきの女たちの声がした。
身体が固まる。
「あ、大丈夫だよーもう知ってるから」
「あはは、隠れてんの?バレバレだよー」
…私に言ってる?
―――コンコン。
私のいる個室のドアを叩かれる。
「うざいんだよ!!」
その声と同時に私に降りかかってくる冷たい水。