「……え」
「すぐ帰ってくるから、心配しねぇで待ってろ」
私と利琥は、非常階段でお弁当を食べていた。
利琥が来週、海外に行ってしまう。
家を継ぐ為のいろいろな勉強をしに行くらしい。
「いつまで?」
「再来週には帰る」
「じゃあ一週間も逢えないの!?」
「まぁ、そうなるな」
「そんなぁ…」
シュンと、眉を下げる。
だってそんなの、寂しすぎるよ。
「お、お前なぁ…その顔、反則」
「え?」
ふと顔を上げると、微笑んでる利琥の顔が一瞬見えて、目の前に迫る。
重なる唇。
「…っん」
利琥が、行っちゃう。
そう思ったら、何だかすごく胸が締め付けられて。
「葉凪?」
「もう、キス出来ないかもしれない」
「え?」
「もしかしたら利琥があっちで私より美人でスタイル良い女の人見つけて…付き合っちゃって…そのまま帰ってこないかもしれない!!」
ポロポロと頬を伝う涙。
こんな事、言うべきじゃない。
利琥の事信じていないと思われちゃう。
「何言ってんだよ、葉凪」
だけど不安なの。
嫌な…嫌な予感がするの。
「行かないで…!」