俺たちは小走りに公園に向かった。
「祐樹!」
「…利琥、春樹」
祐樹はブランコに乗って遠くを見つめていたが、俺たちに気付くと表情を変えた。
「祐樹、大丈夫か?戻るぞ」
―――パシッ!
差し伸べた手を払い除けられた。
「いや、痛くないし」
「僕の事は放っておいて」
「何で?」
「もう、葉凪に合わせる顔がない」
「葉凪には何も言ってねぇよ?」
「だけどいずれ言わなきゃいけないことじゃんか。そしたら僕、絶対嫌われる」
…あー面倒臭い。
「お前は今まで葉凪の何を見てきたんだ。葉凪はそんな奴じゃないだろ?」
お前を嫌う理由も分からんし。
「いいからさっさと戻ろうぜ」
「お兄ちゃん、戻ろ?」
「…分かった」
長い沈黙の後、祐樹は小さく呟いた。