教室を飛び出してふらふらと歩いていると、廊下の隅に春樹を見つけた。




「春樹…」


春樹は壁に張り付いて泣いていた。

「っ、」


俺が春樹に近寄ると、春樹は遠ざかる。



怯えているのか、怒っているのか。


「さっきは言い過ぎた。…悪い」

「え…?」




頭を下げると、拍子抜けしたような間抜けな声が聞こえた。


俺が謝るなんて、滅多にないからな。





「仲直りしよう。で、お前の兄ちゃん探しに行こうぜ」


「…僕の事、嫌いになってない?」

俯いていた春樹はチラッと俺を見上げる。


俺は小さく安堵の息を漏らし、ニッと笑った。




「当たり前だろ、むしろ大好きだ。ほら行くぞ」


そう言って足を進めると、後ろから嬉しそうな顔をした春樹がちょこちょこついてくる。


素直で可愛い奴。





「じゃあとりあえず…思い当たる場所とかあるか?」

「多分…そこの公園だと思う」


「公園?」



「昔、いつもその公園で一緒に遊んでたんだ」