◆利琥◆



俺は全てを知っていた。

祐樹の父親と、葉凪の母親が共に命を絶った事。


前に祐樹から聞いた。



祐樹は、葉凪が自分の父親と自殺した相手の娘だという事に最近まで知らなかったらしい。


祐樹の母親が葉凪の昔の写真を見せて、発覚。



すごくショックだったらしい。

それもそうだろ…まさか自分の親と好きな奴の親が一緒に自殺してるなんて、誰にも考えられないだろうな。




葉凪は、その事実すら知らなかった。

…だから。




祐樹と春樹が飛び出していった後、あんなに俺に突っかかってきたんだ。



「もう…放っといてやれ」


「利琥、何を知ってるの?教えてよ」


「駄目だ…言えねぇ」

お前が傷付くの分かってて、言えるわけねぇだろ。



「祐樹は、私たちの仲間だよ!?祐樹が傷付いてるの…黙って見てろっていうの!!?」


「深く関わる方があいつを傷付ける!お前はただ、首を突っ込みたいだけだろ!!」



「何言ってんの…そんな訳ないでしょ!?私はただ…っ」



「もう黙れ!知ったとこで、お前には何も出来ない!」

こんな事、言うつもりじゃなかった。


「そんなの分かんないでしょ!?」




「やめてよっ!!!」