「もう…いい……」

春樹は必死に涙をこらえて私に背を向けた。



教室に取り残される私。


「何なのよ、もう…」

私はこの怒りをどこにぶつけていいのか分からず、拳を握った。




―――潤、なら。

利琥が知ってるなら潤も知ってるはずだよね。




「潤…!」

「葉凪…どうした?」


「聞きたい事があるの!」



私は真剣な眼差しで潤を見た。


「…何?」

潤は少し微笑んで、何が聞きたいのか知ってる風だった。


「祐樹の事……」


「うん、座って」



私は潤の隣に座った。

「祐樹…か。利琥に聞かないの?」



「聞いたけど…教えてくれなかった…」


利琥の馬鹿…何で教えてくれないのよ。


「まぁ、当然だろうね」

「え…?」


「これから話す事は……葉凪、君にはもの凄く辛い話だよ?受け止める覚悟は…ある?」


ぎゅ、と拳を握る。

「大丈夫。私、祐樹の事ちゃんと知りたいの」


「…そっか、うん分かった。じゃあ…よく聞いてね?」



潤は真っ直ぐ前を見ながら話し始めた。





全部知りたいなんて…私、本当馬鹿だったね。

私は自分の言葉を後悔することになる。