「利琥、何を知ってるの?教えてよ」
「駄目だ…言えねぇ」
どうしてよっ…!
「祐樹は、私たちの仲間だよ!?祐樹が傷付いてるの…黙って見てろっていうの!!?」
「深く関わる方があいつを傷付ける!お前はただ、首を突っ込みたいだけだろ!!」
何…それ。
「何言ってんの…そんな訳ないでしょ!?私はただ…っ」
「もう黙れ!知ったとこで、お前には何も出来ない!」
どうして…。
どうして…そんな風に言うの!?
「そんなの分かんないでしょ!?」
「やめてよっ!!!」
ドアの前には息を切らした春樹が戻ってきていた。
「春樹…」
「もういいよ…兄ちゃんは誰にも救えないんだよ!」
春樹は涙をいっぱい目に溜めて私たちを睨み付けた。
「あぁ、そうだな…お前の言うとおりだよ」
「利琥、やめてよ!」
「本当の事だ」
何でそうデリカシーがないのかなぁ…。
「兄貴を助けたいんなら、お前が何とかしろよ」
「僕には何にも出来ないよ…」
「また逃げるのか、お前は」
春樹は今にも泣きそうな顔をしてる。
「逃げてなんかいないもん」
「逃げてるよお前は。ビビってるだけじゃねーか」
「違う…違うっ……」
春樹はとうとう泣き出してしまった。
「いい加減にして利琥!可哀想でしょ!?」
「お前も、んな同情ばっかりしてんじゃねぇよ。…くだらねぇ」
「ちょっ…どこ行くのよ!」
「俺の勝手だろ」
利琥はスタスタと教室を出て行ってしまった。