◇葉凪◇


「本当にごめんね、葉凪」


「ううん、気にしないで。でも祐樹が双子だったなんて…知らなかったなぁ」

こうして見るとほんと見分けつかないな。一卵性双生児なんだ。




「春樹、とにかくもう帰って」


「嫌だ!僕は、兄ちゃんと葉凪が結婚するまでここにいる!!」



……は?



「な、何言って…?」



「こんな男より兄ちゃんの方が良いって!」

春樹は叫びながら利琥を指差した。



「あ?俺の事言ってんのか?」


利琥は鋭く春樹を睨む。



でも、春樹は動じない。

「僕はもう、兄ちゃんが傷付くの見たくないんだ!!」


もう…?



「どうゆう事?祐樹…?」




祐樹は寂しそうに俯くだけで、私の質問には答えなかった。


代わりに、困ったように笑いながら、

「ごめん…僕ちょっと、帰るね」


「え…兄ちゃん!?」



祐樹が教室を飛び出し、春樹がそれを追った。





「あっ、え、んと…どうしよう、利琥」



「もう…放っといてやれ」


利琥は何かを知っているようだった。