◆利琥◆


「……っ」


んだよ、

何でこんなに気にしてんだよ、俺。


「なーにそわそわしてんの、利琥」


「あ?…別に、してねぇし」



ふーん?…と見下すように笑われる。


こいつらに嘘は無意味だった…。



「利琥、少し頼みがあるんだが」

貧乏ゆすりをしてると、潤が話しかけてきた。



「何だよ」


「これ、風雅さんに渡してきてくれないか?」


手渡された鞄は、

さっき俺が蹴った、風雅の鞄だった。



「…なんで」

「風雅さん、早退するらしいから。…保健室まで、よろしく」



あいつ…早退すんのかよ。


「……分かった」


しゃーない、行ってやるか。

俺は教室を飛び出した。






「潤、風雅って本当に早退すんの?」


「さぁ?…でも、ああでも言わないと……利琥は頑固ですからね」


「なるほど、ね」