◆利琥◆


平凡だった。

実に平凡な一日だった。



「葉凪、アイス!」


いつものように、祐樹が葉凪をパシる。

「うん!みんなは?」



いつものように、葉凪はパシられる。

「俺、スイーツ」

「俺も甘いもの!」


「潤は?」



「あぁ…今日はいらないや」

「そう?じゃあ…行って来るねっ」





ほら、いつもと同じ。

恐れる事なんて何もなかった…のに。



「ねぇ、利琥…葉凪と付き合ってんの?」


「ぶっ!」



あ、珈琲噴いちまった。



「な、なななな…何言って……っ!!」

「動揺し過ぎ…だって利琥、葉凪の事好きなんでしょ?」


こいつには遠慮っつーものがねぇのか!?


でも、実際は…付き合ってはない…よな。

うん…俺は確かに葉凪が好きだけど…あいつの返事、まだ聞いてないしな。



「でー、潤も好きなんだよね?」


「ぶっ!」

潤も噴きやがった。



「はぁ!?俺は別に…葉凪の事なんて…っ」

俺と同じように、分かりやすく慌てる潤。



「僕も哉弥も葉凪の事好きだから…みんなライバルだね」





急に胸騒ぎがした。

何だ……これ。