後ろから声が聞こえる。
「待て、逃がすかっ!!」
何でっ!?何で私がこんな目に!!
―――グイッ
髪の毛を引っ張られる。
「あぁっ!」
そのまま後ろに倒れ、翔の胸の中へ。
「はーい、おかえりなさいっ」
「いやっ離してよ!」
「お仕置きだね。今度は手加減しないから」
その言葉に恐怖を覚え、必死に逃げようとする。
あと少しで、路地から出れたのに!!
乱暴に押し倒され、また乗っかられる。
怖いよ…怖い!!
誰か…!!
ぅ゛ーぅ゛ー…。
ポケットに入れていた携帯が鳴る。
幸い、バイブにしていた為、翔には気付かれていない。
翔は私に唇を強引に重ねる。
今だ…!
するりとポケットに手を入れ、通話状態にする。
『もしもし、葉凪!?お前今どこに…』
「……」
翔は気付いてない。
唇が離される。
「翔、ここどこ?」
「はぁ?何言ってんのお前」
「だって…それぐらい教えてよ。私、怖いのにここまでしてんだから」
「しゃーねぇな。…●○公園の裏だよ」
『…すぐ行く』「へぇーっ!そうなんだ」
わざと声を重ね、聞こえないようにする。
祐樹たちも状況を分かってくれたみたい。
あと、数分。
耐えろ。耐えろ。
「翔…あんたも終わりだよ」
「はぁ…!?お前、狂っちゃった?」