◇葉凪◇
「みんな、久しぶり」
「葉凪!!僕、寂しかったよぉ!!!」
私は久々に、中庭に来ていた。
美優もそこにいて、目を見開いて私を凝視していた。
その目線に耐えられず、思わず俯く。
それに気付いてくれたのか、利琥が私の前に立った。
「美優…お前もう来なくて良いから」
「え…何言ってんの。あの事バラしても―――」
「別に良いよ」
利琥は真っ直ぐ美優を見たまま、威厳ある声で言い放った。
「……本気で言ってるの?」
「あぁ、俺…」
利琥はそこで言葉を止めて、私をグイッと引き寄せた。
構えてなかった私はあっという間に利琥の腕の中。
「葉凪に信じてもらう自信あるし」
そりゃ…利琥のことは信じてるけど。
「利琥、後悔するよ」
「しねぇし、するのはお前の方だろ?」
利琥は鋭い目つきで美優を睨む。
気付くと、祐樹たちもみんな美優を睨んでた。
「……そ」
美優は気まずくなったのか、足早に去っていった。