放課後。
繭は委員会があるので、仕方なく一人で帰ろうと靴を履き替え、外に出る。
「あ、雨降ってる!」
空を見上げると…小雨。
「そういえば、教室に折りたたみ傘あったっけ。取ってこよ!」
面倒くさかったので靴を脱ぎ、裸足のまま教室へ。
廊下は電気が消えていて、薄暗かった。
でも教室は。
ドアは閉まっていたが上の窓から廊下に光が差していた。
勢いよくドアを開けられず(先生いるかもしれないし)そっと開ける。
『ねぇ、拓弥…葉凪どうすんの?』
え、私の話!?
私は慌ててドアを閉める。
それでも気になり、少しだけ開けた。
『どうするって…』
『もういいじゃんあんな子、どうでも』
なんかこの声…聞いた事ある。
『拓弥、私と付き合ってよ…そしたら一石二鳥じゃん』
『何で?』
『だって、拓弥は葉凪にとって最低野郎なんだよ?私が拓弥と付き合って、拓也が二度と葉凪に近寄らなければ…』
『“繭”、お前は葉凪に最高の友達と思われて、俺とも付き合える』
『そゆこと』
…繭!!?
聞き間違いじゃないよね!?
『でもさ、繭も悪魔のような女だよな』
『えぇーっ!?どうして?』
『だってさ、わざわざ俺に葉凪を襲わせて自分が守る的な事言って、自分の株上げるような事してさぁ』
…全部、繭が仕組んだこと……。