◆利琥◆


「はい、冷たいアイスだよぉっ」

「ありがとう美優ちゃん」


何でこいつがここにいんだよ。

いつの間に美優がメイドになっていた。


別にそんな事はどーでもいい。


肝心なのは……、

葉凪がこないこと。


あれから葉凪が俺たちに関わらなくなった。

余計なことしやがって。






「おい…葉凪」

教室で華に話しかける。


「あぁ、どうしたの?みんなのとこ、行きなよ」


葉凪が明らかに不機嫌な声を出す。

「……珈琲飲みたい」

「はい?……私、メイドじゃないんですけど」



「いいから。買って来い」


お前がメイドじゃねぇと、意味ねぇんだよ。


「あれ、利琥…何やってんのぉ?」

……ちっ。


「美優…呼ばれてたんじゃないの?」

「だって行こうとしたら葉凪…利琥といちゃいちゃしてんだもん」


いい加減にしろよ、まじむかつく。

「うるせぇな、いちゃついちゃ悪ぃのかよ」


お前には何の関係もねぇだろ?



「利琥て、こーゆー女がタイプなんだ……趣味悪」

は?葉凪の事、悪く言ったら許さねぇぞ。


「もういい…葉凪は私の事、裏切った…私は本気で利琥の事…好きだったのに!!!」

「そんな事情、俺には関係ねぇし」