「風呂」


「はい?」


「風呂に入る。用意しろ」



朝虎モードが解除され、いつもの虎が戻ってきたとはいえ。


やはり偉そうなところは何も変わらない。



「はい……少々お待ち下さい」



そして私の下僕体質も何も変わらない。



ご飯を半分以上残したまま、立ち上がる私を見て、虎が笑った。



「お前のせいなのだから、世話ぐらいしてもらおうか」


「はいっ……!?」



ちょっと、本当に朝虎じゃないの!?


発言にびっくりして固まっていると、今度は鼻で小馬鹿にしたように笑って。



「冗談だ」



そう言われて、本当は全部覚えてるんじゃないだろうか、と心の底から疑ってしまった。



勿論、お風呂のお世話までしにはいきませんでしたけれど。



……髪の毛だけは乾かしてあげました。



‐了‐