すうっと伸びてきた右手に、朝を思い出す。


テーブル攻撃は無効だったけど、あのときは「冗談」って……


ん? ということはこれも冗談?



「冗談にして欲しいか?」



勿論です!



そう心の中で宣言し、たっぷり表情にも表してみたのに。


朝虎の顔はますます愉しそうになるだけで。



……え、これってかなりピンチ?



今ならまだ逃げれる! と思ったタイミングで、朝虎の右手が私の後頭部を掴まえた。


……手、長いなー。



二人の間のテーブルの上ではのんきにご飯が湯気を上げている。


せっかく急いで作ったのに食べてもらえてないな、など現時点どうでもいいことが頭に浮かぶ。