そう思い聞いてみると、虎は「考えてみりゃそうか」と頷いた。


その顔が、ちょっとだけ寂しげに見えたのは私の気のせいだろうか。



「食うぞ」



だけどその想いは疑問になる前に虎に止められてしまった。


先に茶の間に行ってしまい、私も後を追う。


お皿をテーブルに並べて、再び台所へ行き麦茶とグラスを持ってくる。


「いただきます」と私が言えば、虎は無言で食べ出す。



いつもは、無口で。



だけど、今日はいつもみたいな無表情じゃなかったから。



「虎のお母さんは、どんな人だった?」



なんとなく先程の流れで聞いてしまった。


口を出た質問に、虎は一瞬箸を止め、片眉を上げる。





「置き物」


「え?」


「置き物みてぇだったな」