「いや、思李のことなんだけど」


『ん? 思李?』



急に声音が変わる。


思李のことになると俺と態度が違うんだから、差別だ。



『なーに、思李がどうかしたの?』



一人っ子のせいか、思李のことは本物の妹みたいに可愛がる。


俺は、とことん苛められる。



うちに来れば人の部屋は勝手に漁る。


彼女と歩いてれば、小姑よろしくからかいにくる。


挙句俺の隣に並んで歩いて、彼女面して。



お前のせいで、何回破局を迎えたことか。