マールがローザスにイーブン・スフィアを突き立てるために向かっていった時。

ローザスの迎撃によってマールは確かに死ぬはずだった。

孔気砲により再び散り散りにされたカムイ達はマールの援護などできなかった。

しかし、そんな絶体絶命の危機を救ってくれたのはリリーであった。

迫りくるローザスの手に自らの身体を滑り込ませ、マールを払い除けるようにして救い出したのだった。

最後にリリーが「ありがとう。」

そう口にしたのをマールはきちんと見届けていた。

親友が目の前で握り潰されても決意を曲げず、倒すべき敵へと向かっていけたのはリリーの言葉があったからだった。





ほんの一瞬にして光は治まると、今まで怪物のいたその場所には元の身体に戻ったローザスの姿があった。

そして倒れているローザスの上空に浮かんでいたエターナル・スフィアは、最期に淡い光を放つとカムイ達の目の前で霧のように消えていった。

「やった。やった…のか?」

カムイが逸る気持ちを抑え切れずにそう口にするとローザスが僅かに動いた。

「何をおっしゃっているのかしら?私ならまだ負けていませんわ。」

ローザスの容赦ない糸術が融合消滅で疲れ切ったマールを襲う。