マールは手に持っていた光り輝く何かをローザスに向け突き出した。

「いいこと教えてあげるわローザス。実はこの世に唯一どんなスフィアでさえも浄化することのできるスフィアが存在するのよ。」

マールの手にあったのはニーガルの命が尽きる時に、手にしたイーブン・スフィアだったのだ。

イーブン・スフィアは目も眩むような強い光を発しながらローザスの体内へと吸い込まれていった。

「それは張ったり?それとも負け惜しみかしら。エターナル・スフィアと同等の高度を持つスフィアなんて存在しないわ。現に私の身体には何の変化も…な…い…えっ?」

するとローザスの全身から強い光が溢れだした。

「分かる?これはニーガルが私達に残してくれたイーブン・スフィアの力。私の融合消滅の詠唱時間を稼いでくれた仲間達の覚悟。寸前であなたに殺されそうになった私を、自分を身代わりにしてまで守ってくれたリリーの思い。そしてあなたに奪われたたくさんの人たちの気持ちが、あなたの強大な力を打ち破ったのよ。」

そう誇らしげに言い放ったマール。

ローザスは呆気に取られたように見つめている。

それにカムイ達も傷付いた身体を起こして、最大のそして最後の戦いの幕引きを見守っていた。

そしてローザスの身体は爆発したかのように光を発し辺りを強烈に照らしだした。