「いいよね? ……水谷さん」
『いいよね?』って……、
いいわけないじゃん。
亮は、あたしの……っ。
「……っ、」
喉まできた言葉を、呑み込んで、代わりの言葉を探す。
「……なんであたしに聞くんですか?」
「んー、なんとなく? 仲いいみたいだし?
ま、関係ないかぁ」
黙り込んだあたしと香奈ちゃんのいる洗い場に、水が流れる音だけが響いていた。
「……先輩? 大丈夫ですか?」
先に口を開いたのは、香奈ちゃんだった。
「あ、うん。大丈夫大丈夫。……ちょっとびっくりしただけ」
笑って見せてから、残ってるグラスに手をかける。