だけど一人で帰れない…。
かと言って鈴の邪魔はしたくないし。
智佳の委員会待ってたらもっと暗くなってしまう。
もう私に、選ぶ権利はないんだ(涙)
「英樹様、お願いします!一緒に帰らして下さいませー!」
私が早口で言い終わると、英樹は鞄を掴んでた私の右手を自分の手で掴んだ。
「最初から言えよ、馬鹿。ほら帰るぞ」
最初っからって、私が怒った原因を作ったのは英樹なのに。
でも、英樹に手を握られてたら、なんかもうどうでもいいかも。
「じゃーな、拓磨。あと鈴ちゃんと智佳ちゃんも。」
「あっ、また明日ね」
「相変わらず仲いいね、」
「英樹がベタ惚れだもんな」
「名前で呼べないくらいね」
私たちが教室から出て、3人がこんな会話をしていたのを私と英樹は知らない。