店が開店時間を迎えて、しばらくするとお客さんが何人か入ってきた。

でも不況だから…前よりは少ない。

そんな少ないお客の相手をしながら、透依がくるのをソワソワしながら待っていた。

待ってる自分に驚く。昨日の今日だから会いたくなってるだけかもしれない。

「レイナ、指名入ったよ」

マスターに言われて見ると、ちょうど透依と中川さんが入ってきた所だった。

'来たよ、レイナ'
'うん、待ってた'


透依と目を合わせ、そんな風に目で会話。
つい笑顔になってしまう。

「いらっしゃいませ、中川さん」

「レイナに会いたくてさー無理矢理、青山誘って来ちゃったよ」

「あ、あら、青山くん」

「…こんばんわ」

二人してぎこちない態度。周りにバレないか少しドキドキもんだった。

二人を席につかせ、私は中川さんの隣に行きお酒を作ってお出しする。

「今日も仕事だったの?はい、お疲れ様でした」

「お疲れ様ー!今してる仕事がなかなか大変でさー…」

「そぉなんですかー」

中川さんの話しはまるで聞こえてこなかった。適当に相づちを打つ。

ずっと透依が気になって仕方なかった。

誰か指名入れたのかしら…
誰が隣に来るの?