透依は私の身体が欲しいと言っていたのに、その夜は私を抱くことはなかった。

そのかわり私を優しく抱きしめて離さなかった。

優しい…人なのね。

時折、私のおでこや瞼、頬に優しくキスをする。

透依の優しさに包まれて安心すると同時に胸が苦しくなった。

──ゴメン、私…



透依にたくさんの嘘をついてるの。




まだ透依の事が好きとは言えないけど、この優しさを失いたくないから
本当の事は言わない。

このまま付き合っていったら…透依の事、好きになったら…

私、楽になれるのかな?

この人なら…私の苦しさを受け止めてくれるのかな?
私のココロ全てを彼にぶつけてもいいのかな…?

まだわからない
もっと透依を知らなければいけない。

だけど、付き合えば付き合っていくほど嘘がバレるだろう。




でもとりあえずの3ヶ月契約。言う必要はないかもしれない。

どうなるのかわからないしね。



朝の五時頃にケータイのアラームで二人共、目覚めた。

「時間あるなら朝ごはん食べに行こうよ」

透依の提案に私は同意し、ホテルを出る。

24時間営業のファミレス目指して、透依と手を繋いで歩いた。

素直に嬉しかった…