レイナはオレの胸にもたれかかった。
そのまま目を閉じてジッとしていた。

彼女の手首の傷は、血もすでに乾いていた。薄い傷とはいえ生々しい手首の傷。

きっと、この傷の数だけレイナは傷ついてきたんだ。

オレは彼女の傷にキスをした。

「もうこんな事させないよ」

「青山くん…」

「透依って呼ぶ?」

「透依…何か照れちゃうね…」

「何回も呼んでたら、すぐに慣れるよ」

「透依」

レイナはオレに抱きついてきた。

「しばらくこうしていて…」

「…うん、いいよ」

レイナは泣いていた。今日はずっと泣いてるな。

比較するのは気がひけるけど…美夜はオレに頼る事はなかった。

もちろん嫌な事があったりして凹むことはあっても、心の中の本当の弱い部分なんかを

オレに見せることはなかった。

そういう意味では美夜は強い女だ。
だけど、オレから見ればもっと頼ってほしかったなって思う。

レイナみたいに頼られたら、彼女を守りたいって気持ちが強くなってきた。

オレ…レイナの事、やっぱり好きなのかな…

不思議な気分だ。

美夜もレイナも好きだと感じてる自分。

どっちつかずのまま、オレはレイナを抱きしめていた───