「こういうのっていいなぁ」

「なにが?」

「記憶から消したくないって思えるような付き合い方だったんじゃない?本当に好きだったんだなって思って」

あたしも、お兄ちゃんとの記憶はここに──ハートの中に大切にしまっておきたい。

時々、覗いて見てはね『あの世で浮気すんなよー』って言ってやりたい。



…青山さんはどうだろう?
恋とか関係なしに、ずっと記憶に残しておきたいって思えるような人なのかな…

あたしはちょっとドキドキしながら聞いた。

「青山さん…」

「なんだよ?」

「約束の3ヶ月、過ぎてるよね?」

青山さんは返事の代わりにポテトチップスの袋を開けて、バリバリ食べ始めた。

「…」

…聞いてんだから質問に答えろや!

「青山さん!」

「…なんだよ、別にこのままでいいだろ?」

「あ、そ、そうなんだ?」

「それとも男が出来たから出て行けとか言う?」

「あー!そのうち!彼氏出来たら追い出す!青山さん居たら男連れ込めないもんね!」

「バーカ」

青山さんは笑ってた。あたしはちょっと安心していた。

青山さんを助けるつもりが、やっぱりあたしが助けられてる。

もう一人は寂しいの。