通された部屋は六畳ほどの洋室で

フローリングの床に、窓にはブルーのカーテン。

部屋の中央には白い小さなテーブルがあって、壁際のベッドには大きなクマのぬいぐるみが、ちょこんと座っていた。

誰かの部屋っぽいけど、シンプルで生活感のない部屋…

「ここ使っていいの?」

「…いいの。青山さんが嫌じゃなければ。元々はお兄ちゃんの部屋だったんだ」

「あ…あ、そっか、そうなんだ。でも…」

好き合ってたって言ってたな…それじゃ他の男が使うの嫌なんだろうと思って歯切れの悪い返事をしたのに
アマゾンは何かを決心しているかのような顔で言った。

「あたしね…ずっとお兄ちゃんが死んだ事を受け入れられなかった。だから逃げてた」

「うん」

「本当の事は心の奥に隠して、見ないフリをしてた。その方が楽だったから」

「…」

「でもね、そういうの違うんだよね?そんな事しても、あたしはお兄ちゃんを見てないって事になるし

お兄ちゃんも嬉しくないと思うし、あたしも一生このままなのは嫌だって思って」

「アマゾン」

「前、向かなきゃって思った」

そう言ってオレ達はギュッと手を繋いで、部屋の入口に立ったままぬいぐるみを見ていた。